【書き起こし】岡島礼奈さん「宇宙科学で何ができるのか」

プロから直接学べる音声メディアVOOX。10分×全6回のコースのうちの、第1話「宇宙ビジネスを始めたきっかけ」を書き起こしで紹介。人工的に流れ星を作る事業を立ち上げた株式会社ALEの岡島礼奈さんが、宇宙科学の発展により我々の生活で今後どのようなことが可能になるかを語ります。

(オープニングジングル)

岡島:

皆さんはじめまして株式会社ALE代表、岡島麗奈です。今回よりお送りする「宇宙科学で何ができるのか」では、科学の力で宇宙が解明されることで、どのようなことが可能になるのかをお話しします。

初めに自己紹介から参ります。私がいる株式会社ALEとは何をする会社かというと、実は3つ事業がございまして、今回のメインは世界で誰もやってない人工流れ星の話、そしてそこから得られたりする大気データの話、そして3つ目なんですけれども、人工衛星など宇宙にいる物体が宇宙ゴミ、スペースデブリになるのを防ぐ装置を作っていたりします。今回は人工流れ星およびそこから得られるデータのお話をメインにさせていただきます。

なんで、そもそもこういう会社をやっているかなんですけれども、まあ経緯や経歴をお伝えいたしますと、私、非常に星のきれいな鳥取県というところで育ちました。小さい頃から星がきれいだというのが普通のところで育っていて、よく上を見ながら歩いていましたね。小学校時代に相対性理論のマンガがあったんですけれども、それを読んで宇宙に興味を持ちました。中学校時代には『ホーキン、宇宙を語る』が流行っていて、それを読んで「物理学ってすごい面白いな」と思いました。で、その『ホーキン、宇宙を語る』には、ビッグバンで宇宙が生まれたとか、あとはブラックホールがあってとか、いろいろな科学の話もそこから派生して読み漁っていたんですけれども、体育の時間とかにバレーボールとかやってて、そのバレーボールのボールの飛び方とかが物理学で表せるじゃないですか。あれと同じのが惑星の動きとかもそれで表せるんだと思って、なんか凄いなあと、物理学凄いとか思って、本当に面白い学問だなと思って日々過ごしておりました。

ところが意外とですね、私、宇宙は好きなんですけれども星のことをよくわかってなくて、実は星座とか全然わかってないですね。オリオン座くらいしかわかんないです。それで宇宙の研究したいなと思って大学に入るんですね。そうして運よく東大の天文学科に進学することができました。凄いいろんな人に「なんの役に立つのそんなことをやって?」って、「宇宙がわかってどこ就職できるの?』みたいな、なんかそういう話をされて、私はもう本当に宇宙面白くって、科学っていうのは役に立つ、今すぐじゃなくても100年とか200年のスパンで必ず役に立って、人類が豊かに暮らせるものの土台だと信じていたのでその反応が結構意外だったっていうか、そういう経験があります。あとは、非常に優秀な大学の先生が、資金集めに莫大な時間を取られて研究する時間が減ってしまうって愚痴をこぼされていたことがあって。そういうようなお姿も拝見しながら、こういう優秀な研究者の方々が研究に没頭できるような、そういう環境を作れるような、そういうことできないかなと思っていたというのがその時の思っていたことですね。

大学時代はITベンチャーを起こしたりして学生のときに起業した経験があったり、あとはなんとか天文学で博士号を取得しました。天文学をやっていたときの研究テーマは、宇宙ってビックバンで生まれて、その後に宇宙が膨張しているっていうのが、みんなが一様に信じている現象なんですけれども、その膨張が今後どうなるのか? もしかしたらまた膨張して閉じていくのかとか、膨張をやめて縮んでいくのか、それともある一定の大きさで宇宙はそのままの大きさで止まるのか、それともどんどん大きくなっていくのか、そういうようなことを観測的宇宙論というジャンルで、観測データと理論を照らし合わせながら、その未来を予測するというテーマをやっていました。


流れ星は作れる?

実は博士号を取る前、学部の学生だった2001年のしし座流星群を見て、人工の流れ星のことを思いついております。その時、天文の同級生と見に行きました。千葉の山だったと思うんですけれども、そこで見ていて非常にエキサイティングな経験でした。その時に同級生と「流れ星ってそもそもこんなちっちゃい粒が大気に突入してきてできる現象だから、これ人工的に作れるのかな?」みたいな。そういう話をしたのがきっかけです。このあたりの詳しい仕組みは次回お話し致します。流れ星って作れるかもって思って学生時代過ごしていたんですけれども、その時にまさか自分が人工流れ星で起業しているとは実は思っていなくて、まだまだその先があるんですけれども、この流れ星の事業っていうのは、みんなでエンターテイメントで楽しんでもらえるっていう一面を持ちながら、科学的なところにも貢献するものである。そういうところに魅力を感じて、いつかこれを事業にしたいなとは思っておりました。というわけで、博士を取得した後に外資系の金融機関に就職などして、将来ビジネスをやる上でいろいろ学びたいと思っていたことが学べるかなと思いまして、そういった経験を経て2011年にALEを起業しています。

エンターテイメントなんですけれども、流れ星でどうやってエンターテイメント? って思われると思うんですが、いろいろな使い方ができるんじゃないかなと思ってます。実際、私たちがこういう使い方できるよねと思っていること以外にも、会社に直接お問い合わせいただいて、娘の誕生日プレゼントにしたいとか、プロポーズに使いたいとか、そういう話があったりします。我々は、例えば観光の目玉とかで流れ星を使ってもらえるんじゃないか。ここの街に行くと、毎日流れ星が流れているよとかそういうところで使ってもらえたりだとか、あとはテーマパークとか、イベントとか、そういうところで使ってもらえるんじゃないかなと思っております。さらにこの流れ星、エンターテイメント以外にも、今ちょっと科学発展の話ししたんですけれども、科学的なところにも使えます。どんな科学に使えるか? 大気のデータだったり、それを応用して気象データにするとか、そういうようなことを考えているんですけれども、詳しい話はまた別の回でお話をいたします。

こうしたきっかけや経験を通じて、私はALEという会社で人工の流れ星を作る事業に携わっています。今回の6回で、宇宙科学っていう、一見皆さんとは縁遠いかもって思われるようなことも、実は非常に身近なものであるということを感じていただけるといいなと思っております。宇宙や科学、実は皆さんの生活に非常に溶け込んでいて、さらにこれから、どんどんどんどん皆さんも関わってくる場所だと思っております。より具体的なお話は次回からいたします。ではまたお会いしましょう、岡島礼奈でした。

(以上書き起こし終了)

「宇宙科学で何ができるのか」 全6話 60min


1. 宇宙ビジネスを始めたきっかけ
2. なぜ人工的に流れ星を作れるのか
3. 流れ星を解明すると何がわかるのか
4. 宇宙科学が発展すればどんなことが実現するのか
5. 宇宙科学が発展すればどんなことが実現するのか
6. 科学の力で宇宙を文化圏にするには​​

岡島礼奈
鳥取県出身。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻にて博士号(理学)を取得。卒業後、ゴールドマン・サックス証券へ入社。2009年から人工流れ星の研究をスタートさせ、2011年9月に株式会社ALEを設立。

早速VOOXを聴いてみよう!

VOOX Apple App StoreDownload VOOX on Google Play