現代語の「性善説」という言葉は、「人間は基本的に善意に基づいて行動するという楽観的な人間観」という意味として定着している。しかし「性善説」の提唱者、中国戦国時代の孟子が考えた本来の性善説は、それとはまったく異なるものだった。孟子本来の「性善説」の考え方には、希望を持ちにくい時代に、前向きに生きていくためのカギが眠っていると福谷氏は考える。性善説の誤解を切り口にして、孟子という思想家の全体像、その現代性についてに語ってもらう。
京都大学准教授